山の写真集 (2008年冬 特集 3-1)

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蔵王/樹氷&地蔵山、熊野岳登山  撮影 : 2008/3/12   全ての写真はここをクリック
蔵王・樹氷 : ロープウェイ山頂線&山頂駅周辺から編

ザンゲ坂・樹氷原コース
(スキーコースと交差)

  地蔵山斜面の樹氷

 ザンゲ坂付近の樹氷の中を歩く

地蔵山、熊野岳登山編

地蔵山へ登る

 百名山の熊野岳へ

熊野岳から地蔵山へ戻る

 蔵王の樹氷(アイスモンスター)は日本一(いや世界一)といわれており、蔵王の樹氷見物に一度は行ってみたいと数年前から思っていましたが、なかなか実行出来ないでいました。今年も狙っていたのですが、今年は1中旬頃に晴れが2日ほどあった位で、2月で終日晴れたのは1日もなかったようです(半日又は瞬間的に晴れるたのが2−3回)。1月15日に快晴があってから、3月9日迄なくて、54日目にやっと快晴となったようです、天候が落ちつく2月中旬以降に快晴が無かったのは珍しいとのことです。冬の時期の天気予報は曇り時々雪が8〜9割で雪マークが並んでいました、スキー場の天気予報は出るのですが数日後の予報でも正確にはなかなか当っておりません、山頂の実際の天気はもっと悪いのです。
3月に入るとそろそろ樹氷のシーズンが終わりとばかり、樹氷のライトアップも見るチャンスが少ないまま崩壊前にも拘らず3月2日(日)で終了してしまいました。
 今年は寒い割りに1月は積雪は少なく、2月には雪が多くなり平年並みかそれ以上になり3月になっても樹氷は健在でした。異常な年だったようです。「樹氷と青空」これに遭遇するのは、ただ運のみでは確率がすこぶる悪いようです、直前に晴れを狙う以外に方法がありません。3月に入り天気が安定して崩壊前のラストチャンスでした。

 樹氷が成長して見頃は、通常1月中旬から3月上旬迄で、天気が安定するのは、2月中・下旬からだといわれています。3月に入り春らしくなり暖かくなって雨が降ると樹氷は一気に崩壊します。冬型の気圧配置で樹氷が出で天気が安定しないのは当たり前なのですが、天気が良くないと樹氷は白の中の白で見えません、撮影しても写りません。

 今回の計画では、地蔵山頂から樹氷高原駅迄、和かんじきを使って樹氷原を下るつもりでした、まず夜行バスで早朝に蔵王温泉に到着し、観光案内所で和かんじきをレンタルしようとしたのですが閉まっており、近所の人に聞くと 9時頃しかオープンしないと言われて断念。
これが意外と正解で、3月に入っての樹氷見物でしたので、標高1500m以下では樹氷が壊れ始めていましたが、山頂駅付近では素晴らしい樹氷でした、従って山頂駅付近と稜線(山)を中心にアイゼンで散策することにしました。

蔵王ロープウェイ山麓線で樹氷高原駅(1331m)に至り、蔵王ロープウェイ山頂線に乗り換えて地蔵山頂駅(1661m)に到着します。 樹氷は、標高1500m以下では一部崩壊し始めていますが、山頂駅近辺の樹氷は見事です。スキーコースと交差するあたりが1450mです。

樹氷の全体を撮影すると、もぐらの頭のような塊の林立に見えますが、近くで見ると背丈以上の高さがあります。
北西の斜面に樹氷が塊っていますので、斜面の撮影では逆光が多くなり、ここはプロでも同じような灰色〜青色気味に写るようです。
樹氷シーズンの休日の蔵王ロープウェイの乗車には大変な行列になり整理券も出るようですので平日が良いでしょう。乗車は樹氷見物といえばスキーヤーより優先のようです。今回は平日で夜行バスの早朝1番乗りでしたらスイスイでした。

山頂駅付近からザンゲ坂のスキー(スノボー)コースがあります、ザンゲ坂スキーエリアを歩くと邪魔になりますので、柵の外側に入って散策・樹氷見物です。ここの樹氷は見ごたえがありました。

ここ山頂駅付近では積雪が多めのため例年より樹氷の背丈が小さめに見えるとのことでした。樹氷に近づき過ぎると空洞に落ちて一人では出られなくなることがあるそうです(特に風上側で早い時期の樹氷)。

樹氷は人の背丈の倍以上のものが多くあり「アイスモンスター」の名に相応しい姿で、様々な表情をしており正に自然の造形美です。青空と白のコントラストが魅力です。ガスや吹雪の中では白の中の白で見ることが出来ません。

 樹氷見物のみでは体が鈍るし天気も上々なので、蔵王の最高峰の熊野岳(1,841m)(日本百名山)まで登山することにしました。
山頂駅を出た広場にある 諸願成就・災難よけの「蔵王地蔵尊」に先ずは安全祈願。お地蔵さんの高さは2.34m(+台座の高さ0.34m)あるそうです。今年は雪が多めで肩まで雪に埋もれています。
登山コースへは一般観光客が立ち入りしないように縄張りがしてあり、そこをくぐって地蔵山(岳)に向かいます。ここでスパッツと軽アイゼンをつけて登山開始です。蔵王は、主峰の熊野岳(1,841m)、地蔵岳(1,736m)、三宝荒神岳(1,703m)、刈田岳(1,758m)、杉ヶ峰(1,745m)、屏風岳(1,817m)、不忘山(1,705m)等16の山の総称で、蔵王連峰と呼ばれています。ロープウェイ地蔵山頂駅から地蔵山のみの往復なら約30分です、熊野岳迄の往復なら約2.5時間です(冬季)。但し冬の登山は終日晴天が持続する日でないとやるべきではないでしょう。ガスったり吹雪いたりすると踏み跡も無くなり方向を見失います。

晴天であれば、地蔵岳頂上から 「飯豊連峰」「朝日連峰」「月山」「鳥海山」が一望出来ますが、今日は快晴なのに春霞か黄砂なのか遠望が利きませんでした、今回唯一残念だったことです。 今日は暖かく-7℃位でした。

地蔵山から熊野岳へは道は広くてなだらかな道です。木製の案内ポールが約20メートル間隔で並んでいるので迷う事はないでしょう、トレースもしっかり見えていますが踏み跡は早朝でしたのでありませんでした、たまには雪を踏み抜くこともあります。
今回は、軽アイゼンと防寒登山靴とスパッツとストック1本の足ごしらえでしたが、稜線の雪は締まっていますので、熊野岳往復なら、スノーシュー又は和かんじきは不要と思います。

熊野岳御釜側分岐から熊野岳頂上迄はトレースがありませんでした、それらしき踏み跡(固めの)を選ばないとズボット潜ります。
御釜の湖面は雪に覆われてエメラルド色は見ることが出来ないので近寄って撮影をしませんでした。 刈田岳を超えた先に坊平(ライザワールド)があり、縦走が出来ます。御釜・刈田岳は宮城県側で宮城蔵王の上部になります。刈田岳を超え坊平迄足を伸ばすのであればスノーシューが最適と思います。坊平ではスノーシューイングやかんじきハイクが盛んです。

地蔵山から樹氷高原駅へ下るのなら和かんじきが良いでしょう。 ロープウェイ山麓線下は樹氷は無く冬のスノーハイクが出来るようですが、ここも和かんじきが良いようです。ここはバックカントリーの世界です。
スノーシューは下りに弱い(滑り易い)ので、蔵王では和かんじきだと決め付けられているようですが歩く場所により選択・併用すべきと思います。蔵王でも最近はスノーシューを使う人が増えつつあるそうです。

緩やかな大雪原に風雪により創造した雪紋様(シュカブラ)とエビの尻尾、眼下の樹氷林、モノトーンの世界での青空と白のコントラストは蔵王の冬山の魅力です。エビのしっぽ は、先端や外側部分で風上に向かって成するため、幾つも重なり合って群れをなしています。これが樹氷独特のスタイルを造り出します。

樹氷の表面はエビの尻尾になっていますが、稜線では、中身はアオモリトドマツ以外のもので、エビの尻尾の塊のようになったものもあります、地表面の紋様にも一面エビの尻尾が付いています。

3月9日から晴れの日が多くなり、樹氷は急速に溶け始め、その後3月16日にはかなり黒が目立つようになり見頃は終わりのようでした。樹氷高原駅の樹氷は壊れています。樹氷高原駅はユートピアゲレンデの下部にあたります、ユートピアゲレンデの上部から更に上の地蔵山斜面へ向かって樹氷原が広がっています。ここは未だ樹氷原ではないのです。又蔵王ロープウェイ山麓線下は樹氷はありません、極寒気には霧氷の林の中のスノーハイクができます。

 宿泊ツアーに於いては、晴れで樹氷が満足に見れる確率はいたって少ないと思われます。従って晴れの予報なら夜行の直通バスで決行しようと待ち構えていたのですが、チャンスはなく3月に入ってしまいました。西高東低の気圧配置が緩み、晴れの予報が出るようになりましたが、それに伴って樹氷が消えてしまうおそれがありますので、最後のチャンスとばかり蔵王行き直通バス(蔵王温泉朝着の夜行)を予約したのでした。
 昨年も狙ったのですが、暖冬で雨が降り樹氷が崩壊したり、吹雪で復活したりで、なかなか都合が合わず実行できなかったのです。又天気予報と現地情報をにらめっこしていると中々蔵王に向かうチャンスは無くなり、直前の思い切った決心が必要となります。蔵王の樹氷見物は難しい所とつくづく思いました。
 通常のバスツアーでは、夜行バスであっても年配者がほとんどなのですが、今回の直通バスは若者(学生)が9割以上でした、スキーとスノボーの客ばかりでした。 
 名湯・蔵王温泉も夜行の威力でゆっくりと楽しめました、蔵王温泉は強酸性の硫黄泉で、湯量が豊富(一日8700トンものお湯が噴き出しているそうです)、日帰り温泉施設もあり、旅館・ホテルでも入浴OKです。温泉が濃いので、立ち寄り湯では、源泉、1/2に薄めた浴槽、普通の湯と好みで入れるようになっていました。源泉は強烈で、私には薄めたお湯が丁度良かったです。
 蔵王ロープウェイ山麓線の駅の1階には、こじんまりとしたロッカー、更衣室、洗面所があり、暖房もされていて、夜行バスを使った場合は利用価値があります。

  (参考)

 樹氷は、@シベリアから吹いてくる季節風が、日本海で水分を含み湿った状態で飯豊・朝日連峰・月山で上昇して多くの雪を降らせた後、山形盆地を通り、再び蔵王連峰で上昇し過冷却水滴となり、アオモリトドマツ(亜高山針葉樹林の代表種オオシラビソ)に着氷する。Aこの氷の隙間に多くの雪がとり込まれれて互いにくっついて固く絞まる。Bこれが繰り返されて風上に成長していきアイスモンスターとよばれる様々な形の樹氷となります、樹氷の表面はその形状から「エビのしっぽ」と呼ばれています。要するに、季節風と吹雪が続くことと、朝日連峰の存在と、アオモリトドマツがあることが必須の条件と言われています。
蔵王の1〜2月頃は快晴の日が少なく、北西から西の季節風の吹雪が続きます。アオモリトドマツは適度な雪と氷を身にまとって冬の寒冷から身を守ると言われています。山形蔵王の核心部は、地蔵山頂の北〜西斜面とロープウェイ山頂線下の樹氷高原駅迄と上部の固まった区域です。他には宮城蔵王と坊平が隣接してあります。

蔵王の樹氷は日本一(いや世界一)といわれています、他に八甲田山が有名、八幡平や吾妻山などの亜高山帯でも見られますが、いずれもアオモリトドマツがあります、本州中央部ではオオシラビソにおおわれた北八ヶ岳あたりで部分的に見られるようです(北八ヶ岳は晴天率が良いので会うチャンスは少ないようです)。霧氷は、着氷の段階までは同じで、エビのしっぽまでは出来ますが、吹雪が続かないと樹氷にはなりません。標高1,000m以上の太平洋側の稜線では霧氷までなら見ることができます。

樹氷はアイスモンスターといいますが、スノーモンスターともいいます。樹氷の「氷」はアイスですからアイスモンスターが正確です。何故アイスなのかというと最初に過冷却水滴(エビの尻尾)が付くのでこれは「氷」なので樹氷となったようです。その後雪も付くのでスノーでもよいのですが、語源の話でした。


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